胃潰瘍とは
皮膚や粘膜などが損傷した状態を潰瘍と言います。胃潰瘍は、胃酸に含まれる塩酸・ペプシンにより胃粘膜が損傷した状態で、別名「消化性潰瘍」とも言います。
以前は中高年の男性に多く見られましたが、最近では更年期の女性や若年層にも発生が確認されることが増えてきています。原因は様々なものがあり、以下で詳しくご説明します。
胃潰瘍の原因
ピロリ菌の感染
胃潰瘍の原因にピロリ菌も挙げられ、原因の7割以上に上ります。
ピロリ菌に感染すると慢性胃炎を引き起こし、放置していると慢性胃潰瘍を発症します。除菌治療によりリスクを低減できるので、早期受診が欠かせません。除菌治療には1~2週間ほど必要です。
非ステロイド系消炎鎮痛薬の服用
一部の薬剤は胃潰瘍のリスクが高い方が、長期間にわたり使うことも胃潰瘍を招く恐れがあります。
特に、ロキソニンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬(腰痛・膝痛・関節リウマチなどに対して使用される薬)は、副作用として胃腸粘膜にダメージを与えてしまうため、使用には注意を払う必要があります。薬には副作用があるため、自己判断で服用を続けず、医師の指示に従って使用するようにしてください。ピロリ菌と非ステロイド系消炎鎮痛薬が胃潰瘍の2大原因です。
その他
胃潰瘍の原因の9割はピロリ菌感染もしくは非ステロイド系消炎鎮痛薬です。
その他の原因としてはクローン病、梅毒を含む細菌・ウイルスなどによる感染症、好酸球性胃腸症、頭部外傷や全身熱傷などの身体的なストレス性潰瘍、過度な精神的ストレスなどが挙げられます。
胃潰瘍の症状
みぞおち周辺の腹痛
胃潰瘍では腹痛症状を示すことが多いです。なかでも、みぞおちに痛みを感じ、医療機関を受診する患者様が多いです。胃潰瘍では、食事中・食後に痛みを示す特徴があり、過食の場合は痛みが長時間続くことがあります。一方、空腹時に腹痛が起こり、食事により症状が緩和する場合、十二指腸潰瘍が疑われます。
胃潰瘍の腹痛の程度には個人差があり、胃潰瘍が起きていても腹痛を感じないこともあれば、急激に腹痛が起こったことがきっかけで受診した頃には、潰瘍が重症化していたということもあります。症状が軽度でも早めに当クリニックまでご相談ください。
吐血・下血
潰瘍が発生した部分の血管がダメージを受けた場合、吐血や下血などの症状が現れることがあります。出血により激しい痛みを示すほか、血圧低下、動悸、冷や汗なども起こることがあります。
血液に胃酸が混じり黒く変色し、吐血では黒褐色となり、下血では黒く濁ったタール便となります。
吐血や下血は一時的なものと放置されることも多いですが、特に下血については胃がんや大腸がんなど重大な疾患の初期に見られることもあるため、注意しましょう。
いずれにしても緊急止血を要する場合がありますので、速やかに当クリニックをご受診ください。
背中の痛み
背中や腰周囲に痛みが起こっても放置されることが多いですが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、膵炎、膵臓がんが原因の可能性もあります。
症状が急に起こった、あるいは症状が中々落ち着かない場合、自己判断を控え、当クリニックまでご相談ください。
胃潰瘍の治療
基本的には薬物療法が主な治療となります。2~3ヶ月胃酸分泌抑制薬を服用することで改善が期待できます。
なお、症状が解消しても、自己判断で服用をやめると再発してしまう恐れがあるため、医師の指示に従って服用を継続しましょう。
また、再発を防ぐためには原因を追求する必要があります。ピロリ菌の感染有無や、胃潰瘍を起こしやすい薬を服用していないかチェックします。
食事面では、高脂肪な食品、香辛料、甘味料、アルコールは過剰摂取を避けましょう。
タバコを吸われる方は、節煙に取り組みましょう。過去に胃潰瘍が起きた方は、禁煙に取り組むことをお勧めします。