下痢について
下痢は、軟便あるいは水様便、かつ排便の回数が増加する状態と定義されます。便に含まれる水分量が80%以上となっている状態を軟便、90%以上となっている状態を水様便と呼びます。頻度としては24時間以内に軟便または水下痢が3回以上排便される状態です。
急性下痢では、突然の腹痛とともに下痢症状が起こり2週間以内に治まりますが、慢性下痢では下痢症状が3週間以上にわたって続きます。
下痢は誰しもが経験するよくある症状の1つですが、原因は多岐にわたり人によって違うため、適切な治療を受けるためにも医療機関を受診し、原因を早期に特定することが大切です。
下痢の原因
急性下痢
急性下痢の主な原因には、ウイルスや細菌の感染症、暴飲暴食が挙げられます。原因は季節によっても違いがあり、夏季は食中毒が原因になりやすく、冬季はウイルス感染が原因となりやすいです。なかでも、ウイルス感染が原因となる大腸炎は感染が拡大しやすいため、早期治療が欠かせません。
免疫力が弱い高齢者や小さな子どもに急性下痢が起こった場合、脱水症状のリスクが高いため、水分をしっかり補給することが大切です。他に嘔吐や食事が取れない、血便、発熱などの症状も起きている場合、すぐに当クリニックまでご相談ください。
慢性下痢
慢性下痢の主な原因には、下痢型過敏性腸症候群や大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病といった腸疾患が挙げられ、赤痢アメーバーや腸結核、寄生虫などの特殊な感染症、甲状腺機能亢進症や慢性膵炎などの全身性疾患の症状として現れることもあります。
また、過剰なストレスや薬の副作用として起こることもあります。原因となる疾患を特定するためにも、そのままにせず早めに当クリニックまでご相談ください。
下痢の検査
最初に問診にて、症状の具体的な内容、症状が起こったきっかけ、普段の食事内容、服用中の薬、既往歴などについてお伺いします。その後、腹部の聴診や触診を実施し、原因が判明した場合は、すぐに適切な治療を開始します。
原因が分からない場合は、以下のような検査を行います。
- 血液検査
- 大腸カメラ検査
- 便の培養検査
- 腹部超音波検査
当クリニックでは、大腸カメラ検査に鎮静剤を用いることが可能で、ウトウト眠ったような状態で検査を受けることが可能です。また、下剤を飲むのが苦手な方にも安心して頂けるよう、院内で服用ができるように環境を整えています。検査をご希望の方は、安心してご相談ください。
下痢の治療
急性下痢
ウイルスの感染や暴飲暴食が原因の下痢の場合、基本的には症状が解消するまで安静にして頂きますが、必要と判断した場合は整腸剤を使用することもあります。
また、脱水症状にならないよう、水分補給をしっかり行ってください。脱水症状が認められる場合、点滴治療を行うことがあります。
慢性下痢
慢性下痢は様々な疾患が原因となります。まずは問診にて症状の具体的な内容やきっかけ、服用中の薬、既往歴などについてお伺いします。その後、腹部超音波検査や血液検査、便培養検査、大腸カメラ検査など必要な検査を行い、総合的に診断を下します。治療は、薬物療法や食生活の改善指導を行います。高度な治療が必要な場合、連携先の高度医療期間にご案内することもあります。