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便秘

長引く便秘にお悩みの方へ

通常、便は約8割が水分となっており、これ以上水分が多いと軟便や下痢になり、反対に少ない場合は便秘となります。便秘は、水分不足、あるいは腸の水分の吸収量が過剰になることで便が硬くなり、排便に支障をきたすことで発生します。また、便意を催しても我慢する癖があると、次第に便意を感じにくくなり、便秘になることがあります。
消化から排便に至るまでの時間は人によって異なりますが、24時間ほどとなることが多いです。
排便が毎日できていない状態でも、強くいきむことなく、排便後に残便感がない状態であれば、便秘には該当しません。
便秘とは、排便時に痛みが現れたり、いきまないと排便できなかったりする状態、あるいは排便後に残便感がある状態です。特定の疾患が原因でないことが多いですが、胃腸の疾患によって起こることもあります。
疾患が原因でなかったとしても、便秘が長期間続いてしまうと、腹痛などの症状により、体調を崩してしまったりすることがあります。便秘の原因が体調変化に夜ものであれば短時間で解消しますが、便秘が長引く場合、あるいは便秘と下痢が頻発する場合、原因を特定するためにも当クリニックまでご相談ください。

便秘の原因

便秘の原因は多岐にわたります。
2023年の便通異常症診療ガイドラインでは、慢性便秘症は明確な原因の有無により2つの種類に大別されます。
明確な器質的な疾患や病気の原因がない便秘を一次性便秘症と呼び、主に腸の運動機能や排便機能の異常が便秘の原因となります。対して、明確な器質的疾患や外的な要因により発生する便秘を二次性便秘と呼びます。

一次性便秘

一次性便秘は、機能性便秘症、便秘型過敏性腸症候群、非狭窄性器質性便秘症の3つの種類に分けられます。

機能性便秘症

便が腸を通る時間が長くなってしまう、便の排出機能低下、便意を感じにくい直腸や肛門の感覚変化などが原因として挙げられます。

便秘型過敏性腸症候群

機能性便秘症と似た病態であり、明確に区別することが困難です。

非狭窄性器質性便秘症

腸管が大きく拡張してしまう慢性偽性腸閉塞症、巨大結腸症など腸の形状変化や運動障害を認める小腸・結腸障害型と、大腸の中でも肛門に近い直腸の形状変化や運動障害を認める直腸・肛門障害型に分類されます。

二次性便秘

明確な原因があることによって生じる便秘です。大腸がんなどによって、便の通過が妨げられる狭窄性器質性便秘症、全身疾患によって腸の機能が落ちることによって生じる症候性便秘症、薬剤性便秘症が挙げられます。
危険な便秘として、これまで便秘になったことがなかった方に急に便秘が起こり、症状が続く、あるいは強い腹痛や悪心、嘔吐、血便などの症状も起きている場合、二次性便秘症であることが懸念され、速やかな治療が求められます。
器質性便秘に対して、下剤や便秘薬を使用すると、症状が増悪する可能性があり、重症例では腸管穿孔といって、腸管が破れてしまうこともあるため、検査により原因を突き止め、適切な治療が必要です。

便秘を引き起こす疾患

便秘を引き起こす疾患は様々なものがあり、原因に応じて狭窄性器質性便秘症と症候性便秘症、薬剤性便秘症に大別されます。
狭窄性器質性便秘症は、大腸疾患により便の通過に支障をきたすことで起こる便秘で、原因疾患には、大腸ポリープ、大腸がん、大腸憩室炎、潰瘍性大腸炎、腸閉塞、クローン病などがあります。
症候性便秘は、内分泌系疾患や神経性疾患など大腸以外の臓器の異常が原因となる便秘です。例えば、副甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症、高カリウム血症、低カリウム血症などの代謝異常、糖尿病神経症や神経損傷などの神経系の異常、摂食障害やうつ病などの精神疾患が原因に挙げられます。
薬剤性便秘症の原因として挙げられるのは、腸管の運動を抑える抗コリン薬、一部の抗うつ薬や精神病治療薬、医療用麻薬などが多いです。
また、痔と便秘には相関関係があります。痔の痛みにより排便を我慢することで直腸性便秘の発症や増悪に繋がることもあれば、便秘で排便される硬い便により裂肛が起こることもあります。
原因によっては、自己流の治療により症状が悪化したり、重大な病気の治療が遅れてしまう可能性もありますので、便秘の根本から改善するためにも、市販薬を使用する前に医療機関を受診し、便秘の原因を突き止めた上で適切な治療を受けることをお勧めします。

便秘の検査と診断

まずは問診にて、便秘の具体的な症状や起こり始めた時期、全身の状態、既往歴、服用中の薬などについて丁寧にお聞きします。お伺いする内容が具体的であれば、スムーズな診断が可能となるので、ご協力をお願いします。
問診後、腹部の触診や聴診を行い、腹部超音波検査、血液検査などにより大腸や周辺臓器、状態を確認します。
また、必要があれば大腸カメラ検査も実施し、大腸粘膜を直接観察し、ポリープやがん、狭窄などの異常がないか確認します。
大腸ポリープが発見された場合、検査中に切除できます。また、病変があれば組織を採取して病理検査に回すことで、確定診断に繋げることも可能です。
当クリニックでは、内視鏡専門医が検査を担当しており、最先端の内視鏡システムを使うことで、患者様にかかる負担を抑えながら、短時間で精度の高い検査を行えます。お気軽にご相談ください。

大腸カメラ検査

便秘の治療

器質性便秘や症候性便秘は疾患が原因となるため、治療も原因に応じた適切なものを行います。また、薬剤性の便秘に対しては、処方薬の変更を行うことがあります。
機能性便秘は、薬を用いた治療に加え、再発を防ぐために生活習慣の改善が必要です。

薬物療法

便秘治療薬は様々なものが開発されています。水分量を増やして便を柔らかくする薬、小腸での水分吸収をコントロールする薬、大腸の蠕動運動を促す薬、便量を増やす薬などがあり、患者様の便秘のタイプや生活習慣などに応じた適切な薬を処方します。
また、腸内環境を改善するサプリメントや、漢方薬を使用することもあります。
再診の際に経過をお聞きし、必要があれば薬の容量の調整・種類の変更を行って、適切な処方を実現します。

生活習慣の改善

便秘の再発予防のためには、食生活の見直しや適度な運動、規則正しい生活を送るなど、生活習慣の改善が必要です。薬物療法を行っても、生活習慣が乱れたままでは再発してしまう可能性が高いです。
当クリニックでは、患者様の普段の生活習慣を確認した上で、患者様にあった食事や運動、ダイエット法、適切な排便習慣について指導を行っています。分からないことあれば、些細なことでもお気軽にご質問ください。